複数のWebデザイン案件を同時に進めていると、「あのファイルどこだっけ」「クライアントへの確認事項を忘れていた」といった問題に悩まされることが少なくありません。タスク管理ツール、メモアプリ、スプレッドシートなど、情報があちこちに散らばってしまい、管理コストだけで疲弊してしまう方も多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決してくれるのがオールインワンの情報管理ツール「Notion」です。Notionを使えば、タスク管理、参考デザインの収集、クライアント情報の管理、スケジュール管理などをひとつのワークスペースにまとめることができます。
この記事では、WebデザイナーがNotionをどのように活用すればデザイン業務を効率化できるのか、具体的な使い方を詳しく解説します。

Notionがデザイン管理に向いている理由
情報の一元管理ができる
Notionの最大の特徴は、あらゆる種類の情報をひとつのワークスペースに集約できる点です。テキストメモ、画像の埋め込み、リンク集、タスクリスト、データベースなど、異なる形式の情報を同じページ内で管理できます。
Webデザインの業務では、参考サイトのURL、デザインカンプの画像、クライアントからのフィードバック、修正履歴など多岐にわたる情報を扱います。これらをNotion上に集約しておけば、案件ごとの情報を探す時間が大幅に短縮されます。
データベース機能でプロジェクトを構造化できる
Notionのデータベースは、スプレッドシートのように行と列でデータを管理しつつ、各行を個別のページとして展開できる機能です。プロジェクト名、ステータス、担当者、納期、優先度といったプロパティを自由に設定でき、フィルターやソートで必要な情報だけを抽出することもできます。
さらに、同じデータベースを「テーブルビュー」「ボードビュー」「カレンダービュー」「ガントチャートビュー」など複数の見せ方で表示できるため、目的に応じた情報の確認が可能です。
テンプレート機能で業務を標準化できる
毎回同じフォーマットで案件管理ページを作成するのは手間がかかります。Notionのテンプレート機能を使えば、あらかじめ作成した雛形をワンクリックで複製できるため、新規案件の立ち上げ時間を短縮できます。
案件管理データベースの構築方法
基本プロパティの設計
案件管理データベースを作成する際は、以下のプロパティを設定するのがおすすめです。
- 案件名:クライアント名+プロジェクト名の形式で統一する
- ステータス:ヒアリング中、デザイン制作中、コーディング中、納品済みなどの選択肢を設定
- 納期:日付プロパティで管理し、カレンダービューで一覧表示する
- 優先度:高・中・低の3段階で分類する
- 単価:数値プロパティで案件金額を記録し、月間・年間の売上を把握する
- クライアント:リレーションプロパティでクライアントデータベースと紐付ける
ステータスの選択肢は多すぎると管理が煩雑になります。5〜7つ程度に絞り、案件の進行段階が一目で把握できるようにしましょう。ボードビューを使えば、カンバン方式でステータスごとに案件を並べて確認できます。
ビューの使い分け
同じ案件データベースでも、ビューを切り替えることで異なる角度から情報を確認できます。
- ボードビュー:ステータスごとに案件をカンバン形式で表示。ドラッグ&ドロップでステータスを変更できる
- カレンダービュー:納期を基準に案件をカレンダー上に配置。スケジュールの全体像を確認する際に便利
- テーブルビュー:全案件を一覧表示。フィルターで「進行中の案件のみ」「特定クライアントの案件のみ」などに絞り込める
- ガントチャートビュー:案件の開始日と終了日を横棒グラフで可視化。工数の重なりや空き期間を把握できる

参考デザインの収集・管理術
Notion Web Clipperで参考サイトを保存する
気になるWebサイトを見つけたら、Notion Web Clipper(ブラウザ拡張機能)を使って即座にNotionに保存できます。URLだけでなくページのタイトルや概要も自動取得されるため、後から見返す際に内容を思い出しやすくなります。
保存先を「参考デザイン」データベースに指定しておけば、収集した参考サイトにタグやカテゴリを付けて分類・検索できるようになります。
ギャラリービューで視覚的に管理する
参考デザインの管理にはギャラリービューが最適です。スクリーンショット画像をカバー画像に設定すれば、Pinterestのようなビジュアルボードとして参考デザインを一覧表示できます。テイスト(モダン、ナチュラル、ポップなど)やカラー、業種でタグ付けしておけば、案件ごとに必要な参考デザインをすぐにフィルタリングできます。
スクリーンショットの貼り付けとコメント
参考デザインのページ内にスクリーンショットを貼り付け、「この余白のバランスが良い」「フォントの使い方を参考にしたい」といったメモを添えておくと、デザイン制作時の判断材料として活用できます。Notionのコメント機能を使えば、チームメンバーとの意見交換も同じページ上で完結します。
クライアント情報の管理方法
クライアントデータベースの作成
案件が増えてくると、クライアントごとの情報管理が重要になります。Notionでクライアントデータベースを作成し、以下の情報をまとめておきましょう。
- 会社名・担当者名:連絡先と合わせて記録
- 連絡手段:メール、Slack、Chatworkなど優先連絡手段を明記
- 過去の案件履歴:リレーションで案件データベースと紐付け
- 好みの傾向:デザインの好み、NGポイント、フィードバックの傾向をメモ
- 請求情報:支払いサイト、請求書の送付先など
クライアントの「好みの傾向」を記録しておくことが特に重要です。過去の修正指示やフィードバックの傾向を把握しておけば、初稿の段階でクライアントの好みに近いデザインを提案でき、修正回数を減らせます。
リレーション機能で情報を紐付ける
Notionのリレーション機能を使えば、クライアントデータベースと案件データベースを紐付けることができます。クライアントページを開くと、そのクライアントに関連するすべての案件が一覧で表示されるため、取引の全体像を把握するのに役立ちます。
Notionはクラウドサービスのため、クライアントの機密情報を保存する際はセキュリティに注意が必要です。Notionのワークスペースへのアクセス権限を適切に設定し、外部共有のリンクを不用意に発行しないようにしましょう。特に請求情報や契約内容など機密性の高い情報の管理には、セキュリティポリシーの確認が欠かせません。
デザインワークフローの構築
案件テンプレートの作成
新規案件を受注するたびにゼロからページを作るのは非効率です。案件テンプレートを作成して、以下のセクションをあらかじめ用意しておきましょう。
- ヒアリングシート:サイトの目的、ターゲットユーザー、参考サイト、好みのテイストなどを記録
- サイトマップ:ページ構成を箇条書きや表で整理
- デザインメモ:配色、フォント、レイアウト方針などの設計メモ
- 進行チェックリスト:ワイヤーフレーム確認、デザインカンプ提出、コーディング開始などの工程をチェックリスト化
- 修正ログ:クライアントからの修正指示と対応状況を時系列で記録
サブタスクとチェックリストの活用
大きなタスクを細分化して管理するには、Notionのサブページやチェックリストが便利です。例えば「トップページデザイン」というタスクの中に「ヘッダーデザイン」「メインビジュアル制作」「フッターデザイン」といったサブタスクを設定し、完了するたびにチェックを入れていきます。
進捗率が視覚的に把握できるため、タスクの漏れや遅延を早期に発見できます。

Notionと外部ツールの連携
Figmaとの連携
NotionにはFigmaのファイルを埋め込む機能があります。FigmaのURLをNotionに貼り付けるだけで、デザインカンプのプレビューがNotion上に表示されます。クライアントにNotionページを共有すれば、Figmaのアカウントがなくてもデザインを確認してもらえるため、確認フローの簡略化に役立ちます。
GoogleカレンダーやSlackとの連携
Notionのインテグレーションを活用すれば、Googleカレンダーの予定をNotion上に表示したり、Notionのデータベースが更新されたときにSlackに通知を飛ばしたりすることが可能です。チーム開発の場合、Slackとの連携を設定しておくと情報共有がスムーズになります。
Notion AIの活用
Notion AIを使えば、議事録の要約、タスクの自動生成、文章の校正などをNotion上で完結させることができます。クライアントとの打ち合わせメモからタスクを自動抽出する使い方は、作業効率の向上に直結します。
Notionを長く使い続けるためのコツ
構造をシンプルに保つ
Notionで最もありがちな失敗は、ページやデータベースを作りすぎて構造が複雑になることです。情報が見つからなくなったり、どこに何を書けばいいか迷ったりすると、結局使わなくなってしまいます。
おすすめの構成は、トップページに「案件管理」「クライアント管理」「参考デザイン」「ナレッジベース」の4つのリンクだけを配置するシンプルな構成です。必要に応じてページを増やすのは構いませんが、階層は3階層以内に収めることを意識しましょう。
定期的な整理を習慣化する
完了した案件のページを「アーカイブ」ステータスに変更する、不要になったメモを削除するなど、週に一度は整理の時間を設けましょう。情報が蓄積されるほど検索ノイズが増えるため、定期的な棚卸しが欠かせません。
Notionの公式テンプレートギャラリーには、デザインチーム向けのテンプレートが多数公開されています。ゼロから構築するのが面倒な場合は、公式テンプレートをベースにカスタマイズするのが効率的です。
よくある質問(Q&A)
Q:Notionの無料プランでもデザイン管理に使えますか?
A:個人利用であれば無料プランで十分に活用できます。ページ数やブロック数に制限はなく、データベース機能も無料で使えます。ただし、ファイルアップロードの容量制限(1ファイル5MBまで)があるため、大きな画像ファイルを頻繁に添付する場合は有料プランの検討が必要です。
Q:Notionとタスク管理専門ツール(Asana、Trelloなど)の違いは何ですか?
A:AsanaやTrelloはタスク管理に特化しているため、チームでのタスク進捗管理やワークフローの自動化に強みがあります。一方、Notionはタスク管理だけでなく、ドキュメント作成、データベース、Wiki機能なども備えた汎用ツールです。タスク管理だけを求めるなら専門ツールが使いやすいですが、情報を一元管理したい場合はNotionが適しています。
Q:NotionでFigmaのデザインを共有できますか?
A:FigmaのURLをNotionに貼り付けると、埋め込みプレビューが表示されます。ただし、リアルタイムの編集操作はFigma上でしか行えません。あくまでプレビューとリンクの共有として活用する形になります。
Q:Notionのデータが消えてしまうことはありますか?
A:Notionにはゴミ箱機能とページ履歴機能があり、誤って削除してしまった場合も復元が可能です。有料プランであればページ履歴の保存期間が長くなります。重要なデータについては、定期的にNotionのエクスポート機能でバックアップを取ることを推奨します。
Q:チームメンバーとNotionを共有する場合の料金は?
A:チームでの利用にはチームプラン(有料)への加入が必要です。メンバー1人あたりの月額料金が発生しますが、リアルタイムの共同編集やアクセス権限の詳細設定など、チーム向けの機能が利用できるようになります。
まとめ
Notionは、Webデザイナーの業務に必要な情報をひとつのワークスペースに集約できる強力なツールです。案件管理データベース、参考デザインの収集、クライアント情報の管理、ワークフローのテンプレート化など、さまざまな場面で業務効率を向上させてくれます。
まずは案件管理データベースの作成から始めて、慣れてきたら参考デザインの管理やクライアントデータベースへと徐々に拡張していくのがおすすめの進め方です。一度仕組みを構築してしまえば、案件数が増えても管理コストを抑えられるようになります。


