Webデザインのツールといえば、FigmaやPhotoshopを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、ロゴやアイコン、イラストなどのベクター素材制作ではIllustratorが圧倒的に強いのが現実です。
Illustratorは元々印刷物のデザインで使われてきたツールですが、Web制作の現場でも欠かせない存在です。特にSVG形式での書き出しが求められるアイコンやロゴの制作では、Illustratorの右に出るツールはありません。
この記事では、WebデザインにおけるIllustratorの活用場面と、覚えておくべき基本ツール、そしてFigmaとの使い分けについて解説します。

WebデザインでIllustratorが必要になる場面
ロゴ制作
クライアントのロゴをゼロから制作したり、既存のロゴをWeb用にリサイズしたりする場面ではIllustratorが必須です。ベクターデータで作成すれば、名刺サイズからビルボードサイズまで劣化なしで拡大縮小が可能になります。ピクセルベースのPhotoshopやFigmaでは、この柔軟性は得られません。
ロゴ制作では「シンボルマーク」と「ロゴタイプ(テキスト部分)」の2要素を組み合わせるのが一般的です。どちらもベクターで作成しておくことで、名刺・封筒・Webサイト・看板など、あらゆる媒体に対応できるロゴデータが完成します。
アイコン・イラスト制作
サイト内で使うオリジナルアイコンやイラストを作るなら、Illustratorが最適です。SVG形式で書き出せば、Webページに軽量かつ高品質に組み込めます。SVGはファイルサイズが小さく、拡大してもぼやけないため、Retinaディスプレイへの対応もスムーズです。
印刷物との連携
Web制作と同時に名刺やチラシの制作も依頼されるケースは珍しくありません。Illustratorが使えれば印刷物にも対応できるため、ワンストップで仕事を受けられるデザイナーとして重宝されます。受注の幅が広がるのは大きなメリットです。

覚えるべき基本ツール3選
ペンツール
ベジェ曲線を描くためのIllustratorの基本ツールです。最初は操作に苦戦する方が多いですが、毎日10分でも練習すれば1ヶ月程度で使いこなせるようになります。ロゴの輪郭やアイコンのシルエットを作成する際に欠かせないツールなので、優先的に習得しておきましょう。
練習のコツは、直線→S字カーブ→円→複雑な曲線の順番でステップアップすることです。いきなり複雑な形を描こうとすると挫折しやすいので注意が必要です。
パスファインダー
複数の図形を合体・分割・くり抜きする機能です。円・四角・三角などの基本図形を組み合わせるだけで、複雑な形状を作り出せます。イラストが苦手な方でも、パスファインダーを使えばシンプルなアイコンは十分に制作可能です。
パスファインダーの主な機能は「合体」「前面オブジェクトで型抜き」「交差」「中マド」の4つです。この4つを覚えるだけで、アイコン制作の自由度が飛躍的に向上します。
文字ツール
ロゴのテキスト部分を作成する際に使います。フォントの選択、カーニング(文字間隔の調整)、アウトライン化(文字をパスデータに変換)といった操作は、ロゴ制作では必須のスキルです。
特にアウトライン化は重要なポイントです。フォントをインストールしていない環境でもロゴが正しく表示されるよう、納品前にはテキストをアウトライン化しておくのがプロの基本動作になります。

SVG書き出しのコツ
WebでIllustratorの素材を使う場合、SVG形式で書き出すのが基本です。SVGはXMLベースのベクター画像フォーマットで、テキストエディタでコードを編集することも可能です。
書き出し時のポイントは以下の通りです。
- 「小数点以下の桁数」を1〜2に設定してファイルサイズを抑える
- 不要なレイヤーやメタデータは削除してから書き出す
- CSSプロパティの設定は「プレゼンテーション属性」を選択すると互換性が高い
- 「レスポンシブ」にチェックを入れると、width/heightが削除されて柔軟なサイズ変更に対応できる
書き出し後のSVGファイルは、SVG on the Webなどのリソースを参考に、必要に応じて手動でコードを最適化すると、さらに軽量化が図れます。
Illustrator vs Figma:どう使い分ける?
記事執筆時点でのスタンダードな使い分けは、WebサイトのUI設計はFigma、ロゴやアイコンなどのベクター素材制作はIllustratorです。
| 比較項目 | Illustrator | Figma |
|---|---|---|
| 得意分野 | ベクター素材制作、印刷物 | UIデザイン、プロトタイプ |
| ベクター編集の精度 | 非常に高い | 基本的な操作は可能 |
| 共同作業 | ファイル共有が必要 | リアルタイムで共同編集可能 |
| 料金 | 月額2,728円〜(Adobe CC) | 無料プランあり |
| 印刷対応 | CMYK対応で印刷物も可 | RGB限定 |
Figmaにもベクターツールはありますが、細かいベジェ曲線の編集やパスファインダーの精度ではIllustratorに軍配が上がります。両方を使いこなせるデザイナーを目指すのが理想的です。

よくある質問(Q&A)
Q. Illustratorの学習にどのくらいかかりますか?
A. 基本操作(ペンツール・パスファインダー・文字ツール)を一通り使えるようになるまで、1〜2ヶ月が目安です。毎日30分の練習を継続すれば、シンプルなロゴやアイコンは制作できるレベルに到達します。
Q. Illustratorは買い切りできますか?
A. 記事執筆時点では、Illustrator単体で月額2,728円(税込)のサブスクリプション制です。買い切りプランは提供されていません。Adobe Creative Cloudのコンプリートプランなら、PhotoshopやPremiere Proなども含めて月額6,480円(税込)で利用可能です。
Q. 無料で使えるIllustratorの代替ツールはありますか?
A. Inkscapeが無料のベクターグラフィックツールとして有名です。基本的なベクター編集機能は備えていますが、Illustratorほどの精度や機能の充実度はありません。学習用や趣味レベルであれば十分に活用できます。
Q. WebデザイナーにIllustratorは本当に必要ですか?
A. 必須ではありませんが、使えると仕事の幅が確実に広がります。特にロゴ制作や印刷物との連携が求められる案件では、Illustratorのスキルが直接的な受注につながります。
まとめ:IllustratorはWebデザインのベクター素材制作に欠かせないツール
- ロゴ・アイコン・イラストなどのベクター素材制作ではIllustratorが最強
- 覚えるべき基本ツールはペンツール・パスファインダー・文字ツールの3つ
- Web用の書き出しはSVG形式が基本
- UI設計はFigma、ベクター素材制作はIllustratorという使い分けが標準
- 印刷物にも対応できるため、受注の幅が広がる
IllustratorはWebデザインにおけるベクター素材制作の要となるツールです。Figmaと組み合わせて使いこなすことで、デザイナーとしての対応力が格段に向上します。まずはペンツールの練習から始めて、Illustratorの世界に足を踏み入れてみてください。


