Webデザインを学び始めた学生の多くが、どこかのタイミングで「インターンに応募したほうがいいのだろうか」と考えます。学習は進めているものの、実務がどう回っているのかは想像でしかない。この不安を解消する手段として、インターンは有力な選択肢です。
Webデザインのインターンは「短期の就業体験型」と「長期の実務型」に大きく分かれ、ポートフォリオを厚くしたいなら長期型を選ぶのが基本になります。同じ「インターン」という名前でも、得られるものがまったく違うためです。
この記事では、2種類のインターンの違い、探し方のおすすめルート、応募先を選ぶときのチェックポイント、そして応募準備までを整理して解説します。学業と両立させながら実務経験を積むための材料にしてください。

Webデザインのインターンは大きく2種類
| 種類 | 期間 | 内容 | 得られるもの |
|---|---|---|---|
| 短期・就業体験型 | 1日〜2週間程度 | 会社説明、グループワーク、簡単な課題 | 業界理解、企業との接点 |
| 長期・実務型 | 3ヶ月〜1年以上 | 実際の案件でバナー制作、ページ修正、デザイン補助 | 実務経験、ポートフォリオに載せられる制作物 |
短期型は業界の雰囲気をつかむのに向いていますが、成果物が手元に残らないことが多いのが弱点です。一方で長期型は、実案件に関わるため、選考で見せられる制作物と「チームで働いた経験」の両方が手に入ります。
デザイン職を目指すなら長期型が中心
Webデザイン職の選考ではポートフォリオが判断材料の中心になるため、制作物が残る長期型のほうが直接的な効果があります。長期インターンに特化した求人サイトでは、実施期間が3ヶ月以上の募集に絞って掲載しているところもあり、探しやすくなっています。
応募の前にポートフォリオの見せ方を整えておくと、選考で作品を説明しやすくなります。作品の並べ方や説明文の書き方は、ポートフォリオの作り方を扱った本で確認できます。
おすすめのインターンの探し方【5ルート】
1. 長期インターン特化の求人サイト
ゼロワンインターンのように、長期・有給のインターンだけを扱う求人サイトがあります。短期の説明会型が混ざらないため、実務経験を目的とする場合は探す手間が省けます。
2. ビジネスSNS型の採用プラットフォーム
Wantedly Internのようなサービスでは、いきなり選考に進むのではなく「話を聞きに行く」段階から接点を持てます。企業のビジョンや社内の雰囲気を確認してから応募を判断できるのが特徴です。
3. 大学のキャリアセンター
見落とされがちですが、大学経由の紹介は企業側も学業への配慮を前提にしているため、シフトの相談がしやすい傾向があります。学内限定の募集が出ていることもあるので、一度確認しておく価値があります。
4. 企業の採用ページを直接見る
気になる制作会社や事業会社があるなら、採用ページを直接確認しましょう。求人サイトに掲載していない募集が出ていることがあり、応募が集中しにくいという利点もあります。
5. SNSでの募集
小規模な制作会社やフリーランスのデザイナーが、SNSで手伝いを募集していることがあります。ただし条件が曖昧なまま進むリスクもあるため、業務内容・稼働時間・報酬は文面で確認してから話を進めてください。

応募先を選ぶときのチェックポイント
| 項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 業務内容 | デザイン業務の割合。資料整理や雑務が中心になっていないか |
| 指導体制 | フィードバックをくれる社員がいるか。レビューの頻度はどのくらいか |
| 稼働日数・時間 | 週何日・1日何時間か。授業や試験期間の調整が可能か |
| 報酬 | 時給か成果報酬か。交通費の扱いはどうなっているか |
| 制作物の扱い | 関わった制作物をポートフォリオに掲載できるか |
とくに見落とされやすいのが最後の項目です。クライアントワークでは守秘義務があり、関わった案件をそのまま公開できないことがあります。ポートフォリオへの掲載可否は、応募の段階で確認しておきましょう。
掲載できない場合でも、「担当範囲と工夫した点を文章で説明する」「守秘義務に配慮した形で一部だけ見せる」といった扱い方が認められるケースがあります。可否だけでなく、どこまでなら可能かを聞いておくと選択肢が残ります。
指導体制の有無が経験値を左右する
同じ期間を過ごしても、レビューがある環境とない環境では成長の度合いが変わります。面談の場で「制作物にフィードバックをもらえる機会はどのくらいありますか」と質問しておくと、実態がつかめます。返答が曖昧な場合は、業務が手伝い中心になる可能性を考えておいたほうがよいでしょう。
インターンで実際に任される業務
「デザインの仕事を任せてもらえるのか」という点は、応募前に気になるところです。長期インターンでは、次のような業務から始まるケースが多く見られます。
- バナー制作:SNS広告やサイト内の告知バナー。指定サイズとトーンが決まっていることが多く、最初の担当になりやすい
- 既存ページの更新:文言差し替え、画像の入れ替え、キャンペーン枠の追加
- デザインカンプのパーツ制作:先輩が作った設計に沿って、アイコンやボタンの作成を担当する
- 素材の整理・書き出し:画像の書き出し設定やファイル命名のルール運用。地味だが実務では欠かせない
- 競合サイトの調査:参考サイトを集めて傾向をまとめる。デザインの引き出しが増える
最初からページ全体のデザインを任されることは少なく、パーツ単位の業務から始まるのが一般的です。ここで「雑用ばかり」と感じるか「実務の型を覚える期間」と捉えるかで、得られるものは変わってきます。
とはいえ、数ヶ月経っても素材整理と調査しか回ってこない場合は、業務の割り振りについて相談してみましょう。担当したい業務を自分から言葉にできる学生ほど、任される範囲が広がりやすいという傾向があります。

応募前にそろえておきたい準備
ポートフォリオは簡素でも用意する
実務未経験の段階でも、学習過程で作った作品をまとめておきましょう。バナー数点と、架空のクライアントを想定したページデザインが1〜2点あれば形になります。作品ごとに「誰に向けて、何を伝えるために作ったか」を書き添えると、選考で話が広がります。
使えるツールを整理して書く
Figma、Photoshop、Illustrator、HTML/CSSのうち、どれをどの程度使えるのかを具体的に書きます。「触ったことがある」と「一人で完成させたことがある」は別物なので、正直に区別して伝えたほうが入社後のミスマッチを防げます。
オンライン面談の環境を整える
インターンの選考や、リモート勤務の業務はオンラインで行われることが増えています。ここで起きがちな困りごとが、画面が暗く表情が伝わらない、生活音が入って会話が途切れるといった、内容以前のところでのつまずきです。
- フルHD(1080p)対応の外付けWebカメラ:ノートPC内蔵より明るく写り、角度も調整できる
- クリップ式のリングライト:部屋の照明が暗くても顔まわりが安定する
- ノイズキャンセリング機能付きのUSBヘッドセット:周囲の音を拾いにくく、こちらの声も届きやすい
- 24インチ前後の外部モニター:リモート業務でデザインツールと資料を並べられる
注意しておきたいこと
無給での業務従事には注意する
就業体験の枠を超えて、実際の業務に従事し企業の指揮命令を受けて働く場合、労働者として扱われ賃金が発生すると整理されています。判断は個々の働き方の実態によるため、条件に疑問を感じたら、大学のキャリアセンターや所轄の労働局に相談してください。厚生労働省のサイトでも、労働条件に関する相談窓口の案内が確認できます。
「実績が積める」という理由だけで、稼働時間に見合わない条件を受け入れないようにしましょう。条件面の話を先送りにせず、応募の段階で書面やメッセージに残しておくことが自衛につながります。
学業とのバランスを崩さない
長期インターンは楽しくなってくると稼働が増えがちです。試験期間や卒業研究の時期に調整できるかを、開始前に確認しておきましょう。週の稼働上限を自分で決めておくと、後から戻しやすくなります。
通学と勤務の移動負担
出社型のインターンでは、大学と勤務先の往復が想像以上の負担になります。片道の移動が長くなる場合は、リモート可の募集を優先するか、授業のない曜日にまとめる形を相談しましょう。移動中に作業したい場合は、軽量のノートPCと薄型のノートPCスリーブケース、大容量のモバイルバッテリーがあると行動の幅が広がります。

よくある質問
Q. 社会人でもWebデザインのインターンに参加できますか?
インターンの募集は学生を対象としたものが中心です。社会人の方が実務経験を積みたい場合は、副業として小さな案件を受注する、アルバイトや契約社員として制作現場に入るといったルートのほうが現実的です。目的が「実務経験と制作物を得ること」であれば、手段はインターンに限りません。
Q. スキルが未熟な段階で応募しても大丈夫ですか?
長期インターンでは、育成を前提にした募集も見られます。ただし、ツールの基本操作ができる状態のほうが任される業務の幅が広がるため、Figmaの基本操作と簡単なバナー制作ができる段階まで進めてから応募するのがおすすめです。
Q. 何ヶ月くらい続けるとポートフォリオに書けますか?
期間より、担当した業務の内容が重要です。3ヶ月でも自分が主体的に手を動かした制作物があれば、十分に語れる材料になります。逆に1年続けても補助作業ばかりだった場合、書ける内容は限られてしまいます。開始時点で「何を担当できるのか」を確認しておきましょう。
Q. リモートのインターンでも実力はつきますか?
フィードバックの仕組みが整っていれば、リモートでも実務経験は積めます。確認したいのは、チャットでの質問に返答がもらえる体制か、定期的なレビューの機会があるかという点です。放置される環境では、出社型でもリモートでも成長は鈍ります。
Q. 複数のインターンを掛け持ちしてもよいですか?
企業によっては就業規則や契約で制限がある場合があります。掛け持ちを考えている場合は、事前に双方へ確認してください。学業への影響も含めて、稼働時間の合計が現実的な範囲に収まるかを見積もることが先決です。
まとめ
Webデザインのインターンは、短期の就業体験型と長期の実務型に分かれます。ポートフォリオを充実させ、選考で語れる経験を得たいのであれば、長期・実務型を選ぶのが基本方針です。
探し方としては、長期インターン特化の求人サイト、採用プラットフォーム、大学のキャリアセンター、企業の採用ページ、SNSの5ルートがあります。窓口を1つに絞らず、複数を並行して見ておくと条件を比較しやすくなります。
応募先を選ぶ際は、業務内容・指導体制・稼働日数・報酬・制作物の掲載可否の5点を確認しましょう。とくに制作物をポートフォリオに載せられるかどうかは、後から取り返しがつかない項目です。準備としてはポートフォリオとオンライン面談の環境を整え、学業とのバランスを保ちながら実務経験を積み上げていってください。



