Webサイトを制作する際に、いきなりデザインカンプの作成に取りかかっていないでしょうか。プロのデザイナーでも、最初にワイヤーフレーム(設計図)を作成するのが基本的なワークフローです。
ワイヤーフレームとは、Webページのレイアウトや要素の配置を、色やデザインを省いたシンプルな図で表現したものです。家を建てる前に設計図を描くのと同じで、ワイヤーフレームがしっかりしていれば、デザインの完成度も自然と高くなります。
この記事では、ワイヤーフレームの基本から具体的な作成手順、制作時のコツまでを初心者にもわかりやすく解説します。設計の工程を身につけることで、手戻りが減り、制作効率が大幅にアップするはずです。

ワイヤーフレームとは何か
ワイヤーフレームは、Webページの「骨格」を視覚的に表現したものです。具体的には、以下の要素を灰色のボックスとテキストだけで配置します。
- ヘッダー・ナビゲーションの位置
- メインビジュアルの配置
- 各セクションの順番と大きさ
- テキストや画像のおおまかな配置
- CTA(行動喚起ボタン)の位置
- フッターの構成
色やフォント、画像などのビジュアル要素は含めないのがポイントです。ワイヤーフレームの目的は「情報の構造と優先順位を決めること」であり、見た目の美しさは後の工程で検討します。
モックアップやプロトタイプとの違い
| 種類 | 目的 | ビジュアルの精度 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| ワイヤーフレーム | 構造・配置の設計 | 低(灰色ボックス) | 情報整理・チーム内共有 |
| モックアップ | ビジュアルの確認 | 高(色・画像あり) | クライアント確認・デザイン決定 |
| プロトタイプ | 動きの確認 | 中~高 | ユーザーテスト・開発者への指示 |
これら3つは制作プロセスの異なる段階で使われるもので、ワイヤーフレーム → モックアップ → プロトタイプの順に精度が上がっていきます。

ワイヤーフレームの作り方5ステップ
Step1:目的とターゲットを明確にする
このページの目的は何でしょうか。商品購入なのか、お問い合わせなのか、情報提供なのか。そしてターゲットは誰なのか。この2点を最初に定義しないと、的外れな構成になります。
目的が曖昧なまま構成を組むと、「あれもこれも入れたい」とコンテンツが膨らみ、結局ユーザーに何も伝わらないページになりがちです。「このページを見たユーザーに、最終的にどんなアクションを取ってほしいか」を一文で定義するところから始めましょう。
Step2:必要な要素を洗い出す
ページに掲載する要素をリストアップします。一般的なWebページで検討すべき要素の例は以下の通りです。
- ヘッダー(ロゴ・グローバルナビゲーション)
- メインビジュアル(キャッチコピー・CTA)
- サービス紹介・特徴
- 導入事例・お客様の声
- 料金プラン
- よくある質問(FAQ)
- お問い合わせフォーム・CTA
- フッター(会社情報・サイトマップ)
この段階ではデザインのことは一切考えず、情報の整理だけに集中するのがポイントです。Post-itやテキストエディタでリストを書き出すだけでOKです。
Step3:情報の優先順位を決める
洗い出した要素に優先順位をつけます。ユーザーに最も伝えたい情報をページ上部に配置し、優先度の低い情報は下部に回します。
- ファーストビュー(スクロールせずに見える範囲)に最重要メッセージとCTAを配置
- ユーザーが知りたい順番で情報を並べる(自分が言いたい順番ではない)
- CTAはページ内に複数回配置するのが効果的(上部・中間・下部)
Step4:レイアウトを選ぶ
ページの目的に合ったレイアウトパターンを選びます。代表的なパターンは以下の通りです。
| レイアウト | 特徴 | 適したページ |
|---|---|---|
| 1カラム | コンテンツに集中させやすい | LP、サービスページ、ポートフォリオ |
| 2カラム(メイン+サイドバー) | ナビゲーション性が高い | ブログ、ニュースサイト、ECサイト |
| グリッドレイアウト | 多数のコンテンツを整理しやすい | ギャラリー、商品一覧、ポートフォリオ |
| フルスクリーン | インパクトが強い | ブランドサイト、プロモーションページ |
LPであれば1カラムが王道、ブログであれば2カラム(メイン+サイドバー)が一般的です。目的とユーザーの行動導線を考慮して選択しましょう。
Step5:ワイヤーフレームを描く
ここまでに整理した情報をもとに、実際にワイヤーフレームを描きます。四角と線でシンプルに構成を表現し、色は使いません。灰色のボックスとテキストラベルだけで十分です。
ツールはFigmaがおすすめです。無料プランでも十分な機能があり、チームでの共同編集にも対応しています。紙とペンでラフを描いてからデジタルツールに起こすという手順でも構いません。

ワイヤーフレーム制作で押さえておきたいコツ
デザインしない
ワイヤーフレームの段階でフォントや色を凝り始めると本末転倒です。あくまで構造と配置の確認が目的であり、見た目が洗練されている必要はまったくありません。
「ダサくてOK」という意識を持つことが、良いワイヤーフレームを作る秘訣です。ビジュアルに気を取られると、構造の検討がおろそかになります。
スマホ版も同時に考える
PC版のワイヤーフレームだけ作って満足しがちですが、スマートフォンでの表示も同時に検討しておくことが重要です。PCで2カラムだったレイアウトを、スマホでどのように1カラムに落とし込むか。この段階で決めておくと、デザインやコーディングの工程で迷いが減ります。
クライアントやチームメンバーと早い段階で共有する
ワイヤーフレームは「完成してから共有」ではなく、「途中段階で共有」するのが理想です。早い段階でフィードバックをもらうことで、方向性のズレを最小限に抑えられます。特にクライアントワークでは、ワイヤーフレームの段階で構成の合意を取っておくと、デザイン確認時の大幅な修正を防げます。
よくある失敗パターンと対策
| 失敗パターン | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 要素を詰め込みすぎる | 優先順位が曖昧 | 「最も伝えたいことは何か」を1つに絞る |
| PC版しか作らない | スマホ対応を後回しにする | PC版とスマホ版を同時に作成する |
| ワイヤーフレームで時間をかけすぎる | ビジュアルにこだわってしまう | 灰色ボックス+テキストのみに制限する |
| 共有が遅い | 完成してからの共有に慣れている | 50%の段階で一度フィードバックをもらう |
ワイヤーフレームは「正解」があるものではありません。ページの目的やターゲットによって最適な構成は変わります。他のサイトのワイヤーフレームをそのまま流用するのではなく、自分のプロジェクトに合わせてカスタマイズすることが大切です。
おすすめのワイヤーフレーム制作ツール
| ツール名 | 料金 | 特徴 |
|---|---|---|
| Figma | 無料プランあり | ブラウザで動作。共同編集が強力。業界標準ツール |
| Adobe XD | Creative Cloud契約が必要 | Adobe製品との連携がスムーズ |
| Whimsical | 無料プランあり | シンプルで直感的。ワイヤーフレーム特化の機能 |
| 紙とペン | 無料 | 最も手軽。アイデア出しの初期段階に最適 |
初心者の方にはFigmaが最もおすすめです。無料で始められるうえ、チュートリアルも豊富に公開されています。まずはFigmaで簡単なワイヤーフレームを1つ作ってみることから始めましょう。

よくある質問(Q&A)
Q. ワイヤーフレームは必ず必要ですか?
A. 小規模な個人サイトや簡単なバナー制作であれば省略することもありますが、複数ページのWebサイトやLPの制作では作成を強くおすすめします。ワイヤーフレームがないと、デザインの段階で構成を考えながら進めることになり、手戻りが増える原因になります。
Q. ワイヤーフレーム作成にどのくらい時間をかけるべき?
A. 1ページあたり30分~1時間程度が目安です。時間をかけすぎるとビジュアルにこだわり始めてしまうので、スピード重視で仕上げましょう。完璧を目指す必要はありません。
Q. クライアントにワイヤーフレームを見せても理解してもらえない場合は?
A. 灰色のボックスだけでは伝わりにくいことがあります。その場合は、各ボックスの横に「ここにキャッチコピーが入ります」「ここにサービスの特徴を3つ掲載します」など、テキストの注釈を加えると理解度が上がります。
Q. ワイヤーフレームとデザインカンプの違いは?
A. ワイヤーフレームは構造の設計図、デザインカンプは最終的なビジュアルを含む完成イメージです。ワイヤーフレームで構造を確定させてからデザインカンプの制作に進むのが一般的な流れです。
まとめ:ワイヤーフレームは制作効率を上げる必須の設計ツール
- ワイヤーフレームはWebページの「骨格」を設計するもの
- 「目的の明確化 → 要素の洗い出し → 優先順位決定 → レイアウト選択 → 描画」の5ステップ
- 色やフォントは使わず、灰色ボックスとテキストだけで作成する
- PC版とスマホ版を同時に考えることが重要
- 早い段階でチームやクライアントと共有してフィードバックを得る
- ツールはFigmaがおすすめ(無料・高機能・共同編集対応)
ワイヤーフレームを作る習慣を身につけると、デザインの手戻りが減り、制作スピードが大幅に向上します。まずは簡単なページで1つ作成してみてはいかがでしょうか。
参考:Figma
参考:Whimsical

