「ランサーズに登録したものの、提案しても返事が来ない」「Webデザインの案件が多すぎて、どれに応募すべきか判断できない」という段階でつまずく方は多いものです。
ランサーズで安定して受注するために効くのは、「案件の選別」「提案文の設計」「継続につなげる納品対応」の3点です。提案数を闇雲に増やすより、この3つを整えたほうが通過率は上がります。
この記事では、まずランサーズの手数料と仕事の形式を整理し、そのうえでWebデザインの提案文をどう組み立てるかを具体的に解説します。稼ぐコツを、単発の受注ではなく継続的な取引の設計として考えていきましょう。

ランサーズの手数料と仕事の形式
システム手数料は一律16.5%
ランサーズでは、取引完了時に契約金額からシステム手数料が差し引かれます。記事執筆時点の公式ヘルプによれば、ランサー(受注者)側のシステム手数料は契約金額(税込)の16.5%です。以前は契約金額に応じた段階制でしたが、現在は金額にかかわらず一律の料率が適用されています。
発注する側にも手数料がかかり、クライアント側は契約金額(税込)の5.5%を負担します。つまり、案件の予算にはクライアントの手数料分も乗っている、という構造です。
| 契約金額 | システム手数料(16.5%) | ランサーの手取り目安 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 1,650円 | 8,350円 |
| 30,000円 | 4,950円 | 25,050円 |
| 50,000円 | 8,250円 | 41,750円 |
| 100,000円 | 16,500円 | 83,500円 |
料率は改定されることがあるため、契約前にランサーズ公式ヘルプのシステム手数料ページで最新の内容を確認しておくと安心です。改定の告知は公式のお知らせページでも公開されています。
見積もりを出すときは、16.5%を差し引いた後の金額を先に計算してから提示額を決めましょう。「作業時間×希望時給÷0.835」で逆算すると、手取りベースで狙った水準に届きます。
見積もりや案件の選び方は、Webデザインの副業を扱った本でも具体例とともに紹介されています。気になる方はチェックしてみてください。
仕事の形式の違いを理解する
ランサーズには複数の依頼形式があり、Webデザインで関わることが多いのはプロジェクト方式・コンペ方式・パッケージの3つです。
| 形式 | 特徴 | 向いている段階 |
|---|---|---|
| プロジェクト方式 | クライアントの依頼に提案し、選ばれたら契約 | 実績を積みたい初期〜中期 |
| コンペ方式 | 先に制作して応募し、採用された作品のみ報酬 | ロゴやバナーの実績づくり |
| パッケージ | 自分のサービスを商品として出品し、購入を待つ | 実績が溜まった中期以降 |
コンペ方式は不採用なら報酬がゼロになるため、時間対効果は不安定です。初期の実績づくりとして数回試すのは有効ですが、主軸に据えると疲弊しやすい点は押さえておきましょう。
受注しやすい案件の見分け方
避けたほうがよい案件の特徴
提案を送る前に、案件情報そのものを読み込む習慣をつけると無駄打ちが減ります。
- 依頼文が数行しかなく、成果物の範囲が書かれていない
- 予算が明示されず「応相談」のみ
- 修正回数や納期の記載がない
- クライアントの過去評価や発注実績がゼロで、本人確認も未完了
これらが重なっている案件は、契約後に条件が膨らむ可能性が高くなります。逆に、依頼文が具体的で、参考サイトや納品形式まで書かれている案件は、進行がスムーズになりやすい傾向があります。
単価だけで選ばない
高単価の案件は競合も多く、実績のあるランサーが集まります。実績が浅い段階では、中単価で継続性がありそうな案件を狙うほうが結果的に総収入が伸びることがあります。「毎月バナーを5点」「サイトの更新作業を月2回」といった定期案件は、1件あたりの単価が控えめでも稼働が読めるという利点があります。

通過する提案文の組み立て方
冒頭3行で「読む価値がある」と判断させる
クライアントは短時間で多数の提案を確認します。定型の挨拶から始まる提案文は、それだけで後回しにされがちです。冒頭に「依頼内容のどこを読んだか」と「自分がどう対応できるか」を1文ずつ置くと、続きを読んでもらえる確率が上がります。
使い回しのテンプレートは、依頼文に触れていないことがすぐに伝わります。冒頭の2文だけでも案件ごとに書き換えてください。
提案文に入れたい5つの要素
- 依頼内容の理解:依頼文の要点を自分の言葉で1〜2行に要約する
- 関連実績:案件と近いジャンル・目的の制作物を2〜3点だけ提示する
- 進め方:ヒアリング→ラフ→デザイン→修正→納品の流れと日数を書く
- 条件の明示:修正回数、納品形式、対応範囲外を明記する
- 確認事項:不明点を2問ほど質問し、返信のきっかけを作る
特に効くのが5つ目です。質問を添えると返信が発生しやすく、やり取りの中で条件をすり合わせられます。提案は一方的な自己紹介ではなく、会話の入口を作る作業だと捉えてください。
実績の見せ方
ポートフォリオを大量に並べても、判断材料としては散らかります。案件の業種や目的に近い作品だけを選び、「どんな課題に対して、どう設計したか」を1〜2行添えましょう。実案件がない場合は自主制作でも構いませんが、その旨を明記します。
設計の意図を1〜2行で説明するには、デザインの原則を押さえておくと言葉にしやすくなります。定番の入門書も参考になります。
契約前に確認しておきたい条件
成果物の範囲と権利の扱い
Webデザインの取引では、デザインデータの著作権や利用範囲をどう扱うかが後からもめる原因になります。契約前に、納品するのは書き出した画像だけか、編集可能な元データも含むのかをはっきりさせておきましょう。元データまで渡す場合は、その分を見積もりに反映させるのが一般的です。
制作物を自分のポートフォリオに掲載してよいかどうかも、契約時に確認しておきたい項目です。掲載可否は案件によって異なり、公開前のサイトや守秘義務のある案件では掲載できないこともあります。「納品から3ヶ月後以降であれば掲載可」といった条件で合意できるケースもあるため、聞いてみる価値はあります。
仮払いの確認を怠らない
ランサーズには、契約時にクライアントが報酬をあらかじめ預ける仮払いの仕組みがあります。仮払いが完了していない状態で作業を始めるのは避けてください。報酬の未払いを防ぐための仕組みなので、着手前に状況を確認しておきましょう。
「先に少しだけ作ってみてほしい」といったテスト制作の依頼は、無償になりやすい領域です。工数が発生する作業は、有償として見積もりに含める姿勢を持ちましょう。
フリーランス保護のルールも知っておく
個人で業務を受託する立場を守るための法整備も進んでいます。発注時の条件明示や報酬支払期日の設定など、発注側に求められる義務が定められているため、取引条件に違和感があるときは公的な情報を確認する習慣を持つと安心です。制度の概要は公正取引委員会の公式サイトで公開されています。
納品後の対応で継続受注につなげる
納品して終わりにしない
納品時に、使い方の補足や今後の改善提案を一言添えるだけで印象が変わります。「スマホ表示で気になった点」「次に手を入れるならこの部分」といった提案は、次の依頼の呼び水になります。
評価と認定制度
ランサーズには、実績や納期遵守などの基準を満たしたランサーを認定する制度があります。認定を得ると検索での露出や信頼性の面で有利になるため、納期遵守と返信速度を早い段階から習慣にしておく価値があります。基準は変更されることがあるので、詳細は公式サイトで確認してください。
実働時間を記録して単価を見直す
受注が続いてくると、「忙しいのに手元にお金が残らない」という状態に陥ることがあります。原因のほとんどは、見積もり時に想定した作業時間と実際の作業時間がずれていることです。ヒアリング、素材の整理、修正対応、請求書の作成まで含めると、デザイン作業そのものより周辺業務のほうが長いというケースも珍しくありません。
案件ごとに実働時間を記録し、契約金額を実働時間で割った実質時給を出すと、どの種類の案件が自分に合っているかが数字で見えてきます。実質時給が低い案件は、次回から見積もりを上げるか、提供範囲を狭めるかの判断材料になります。感覚ではなく記録で判断するほうが、値上げの交渉もしやすくなります。
作業環境と学習まわりの整え方
複数案件を並行すると、素材管理とファイルのバージョン管理が想像以上に負担になります。「どのフォルダに最新版を入れたか分からなくなる」という状態は、修正依頼が来たときに時間を溶かします。
作業机まわりでは、27インチのWQHDモニターを1枚足すと、参考サイトとデザインツールを並べて確認できるようになります。長時間の作業で手首が痛くなる方は、Wacom Intuosなどのペンタブレットやリストレスト付きのキーボードを検討する余地があります。
提案文やヒアリングの型を学ぶ目的なら、『ノンデザイナーズ・デザインブック』のようなデザイン原則の定番書に加えて、要件整理を扱ったWeb制作のディレクション関連書籍を1冊読んでおくと、クライアントとの会話の解像度が上がります。

よくある質問
Q. 提案は何件くらい送ればいいですか?
件数の正解はありませんが、実績が浅い時期は1日2〜3件を継続するほうが、まとめて大量に送るより結果につながりやすいという声があります。1件ごとに依頼文を読み込む時間を確保できる範囲に収めましょう。成果には個人差があります。
Q. ランサーズとココナラはどちらがよいですか?
受注の仕組みが異なります。ランサーズは案件に自分から提案する形が中心、ココナラは出品して購入を待つ形が中心です。営業が苦にならないならランサーズ、待ちの導線を作りたいならココナラ、といった使い分けが考えられます。
Q. 手数料が引かれた後の金額で確定申告するのですか?
一般的には、契約金額を売上として計上し、システム手数料を経費として処理します。入金額だけを売上にすると経費計上が漏れるため、取引明細を保存しておきましょう。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
Q. 実務経験なしでも案件は取れますか?
バナーやアイキャッチなど、成果物が小さく判断しやすい案件から始めている方がいます。いきなりサイト一式の制作を狙うより、通過率の高い領域で評価を積むほうが現実的です。
Q. 直接取引を持ちかけられたらどうすべきですか?
プラットフォーム外での直接取引は規約で制限されています。アカウント停止のリスクがあるため、規約を確認したうえで慎重に判断してください。
まとめ
ランサーズでWebデザインの案件を受注して稼ぐコツは、システム手数料16.5%を織り込んだ見積もり、案件の選別、そして依頼文に応じた提案文の3点に集約されます。提案数を追うのではなく、通過率を上げる書き方に切り替えることが遠回りに見えて近道です。
受注後は、納期を守り、次の改善案を添えて納品することで継続案件に育っていきます。単発の積み重ねから、読める収入へ。着実に土台を作っていきましょう。



